2012/02/28

CMU Allen Newell賞を受賞しました

CMUのSchool of Computer Science(SCS、コンピュータサイエンス学部)の原型は、1965年にアレン・ニューウェル、ハーバート・サイモン、アラン・パリスらによって創立されました。創立者の一人、アレン・ニューウェルの実践的な研究スタイルに合致する優れた研究に送られる賞に、Allen Newell Award for Research Excellence というものがあります。CMU SCS内部の賞ではあるものの、SCSはコンピュータサイエンスの教育機関としては世界最大規模なので競争率はなかなか高いです(去年の資料によるとSCSには学士課程574人、修士課程357人、博士課程421人、ファカルティ264人が在籍)。過去の受賞者一覧を見ると、チューリング賞(コンピュータサイエンスのノーベル賞的存在)も受賞したエドムンド・クラーク、アレン・エマーソン、デイナ・スコットらの先生方がいらっしゃったり、そこそこ一般にも知られている研究だとハードディスク冗長性向上技術のRAIDを発明したガース・ギブソンや、ワトソンの先輩格で人間のチェスチャンピオンを破ることになったディープ・ソート、ディープ・ブループロジェクトを立ち上げたマレー・キャンベル、フェンション・シュー、そして日本でもおなじみのロボット工学・コンピュータビジョンの世界的権威である金出武雄先生がいらっしゃったりと、そうそうたる受賞者がいます。

そのAllen Newell Award for Research Excellenceを、なんと先週頂きました。IBMワトソンへの貢献も含めた、今までの質問応答研究への取り組みが認められたようです。2005年以来なぜか受賞者がいなかったので、7年ぶりの受賞者になります。
Eric Nyberg, professor in the Language Technologies Institute (LTI); Teruko Mitamura, research professor in LTI; Nico Schlaefer, who recently received his PhD in language technologies, and Hideki Shima, a PhD student in LTI, won the Allen Newell Award for Research Excellence for their work on question-answering systems, including their significant contributions to IBM’s Watson. ( http://news.cs.cmu.edu/article.php?a=2972 )

質問応答というのはコンピュータサイエンスの中でも、基礎研究というより応用寄り、理論というよりは実践寄りで、一枚岩の洗練されたきれいなアプローチで解ける保証もなく、実装(プログラミング)の量も多いですし、論文になりにくいようなアーキテクチャデザイン、APIデザイン、ウェブUI作成、評価ツール作成などの仕事もたくさんあるので、大変です(面白いですが、油断していると学位を取るのにすごく時間がかかります)。それでも、たまたまアレン・ニューウェルのフィロソフィーに合っていただけかもしれませんが、こういう権威ある賞で認められて嬉しいです。

▲授賞式でSCS deanから賞状を頂き、各自スピーチしている様子。

CMUでの元オフィスメイトであり、一緒にTAをしたりIBMで机を並べて研究した 
元同僚も遠方から出席。
PhD取得後、異例の業種で働き始め早1ヶ月、

現在の仕事に非常に満足しているということをランチの間中語ってくれた。

▲賞状。人生でもらった賞は数えられるぐらいしかなく、
研究で賞を頂いたのは初めてです。

▲レセプションの料理。ケーキにはニューウェルとサイモンの
写真が入っています(笑)